押切蓮介さんの「ミスミソウ 上・下(完全版)」を読んでみたよ。


ミスミソウ 上・下(完全版)

三角草。厳しい冬を耐え抜いた後に雪を割るようにして咲く花。

閉鎖的な田舎町の中学に転校してきた少女

「春花」を待っていたのは、壮絶なイジメだった。

せき止められない憎しみに、少女の心は崩壊する―――――!!

引用元: ミスミソウ(上)裏表紙

いかにも憂鬱になりそうな内容ですが、表紙に惹かれて買ってみました。(※ネタバレを含むので注意です。)

 

作者は月刊ビッグガンガン連載中「ハイスコアガール」の押切蓮介(おしきり れんすけ)さん。

調べたところ、この「ミスミソウ」は、ホラーMにて2007年から2009年まで連載していたそうです。

感想を一言でいえば、

む、報われねぇ

これに尽きます。

 

読んだ後はしばらく呆けてしまいました。

キャッチコピーに「精神破壊(メンチサイド)ホラー」と仰られるだけあります。。

イジメを受けていた主人公「春花」の一緒に住んでいた家族全員がクラスメートの放火によって殺されてしまい、それによって壊れてしまった春花が凄惨な復讐劇を遂げるという、ちょっと一般的には現実離れした物語です。

普通なら頼りになるはずの先生も主人公を庇うこともせず、保身しか考えない、いやそれが精一杯の女性。

引取人のおじいちゃん以外に春花の味方がいません。

正直「中学生でここまではやらんでしょ!」とツッコミを入れてしまう程の過激な展開なのですが、自分が知らないだけで現実に起こっているのかなぁと思うと怖くなります。

 

読みきってみると、主人公の春花により、復讐されるイジメていた側の子ども達に感情移入していました。

それぞれの家庭内事情の描写を見ていると完全には憎めません。

 

異なった不満・寂しさと言った想いがあり、その吐き出し口としてイジメが存在してしまう事実。

この時こうしていれば・・・!なんて場面がいくつもあります。

負の連鎖はこうまで続いてしまうのかと・・・。

 

他人の心は分からないものですが、だからと言って疎かにしてると、こんな取り返しの付かないことになる事だって起こりえる。

それを描写することによって逆説的に、「お互いを分かろうとすることが大切」と言う事を示唆していると解釈します。

実際のイジメ問題に関しても、抱える不満や寂しさの要因・原因をいかに早く気づいて、内なる思いを聞いてあげれるのか解決の鍵だと思いますが・・・。

いざ、親になった時、不安です。この漫画は教訓にしたいな、と思います。

バッドエンドに他ならないんですが、それによって、現実に生きる私たちに改めてイジメや、人に対する接し方について関心を与えてくれる漫画です。

ただ、グロいので、極度に苦手な方にはおすすめしません!

 

気になった方はぜひ。

押切さんの描く女の子は(普通にしていると)可愛いなぁ。